リマインダー施策とは|「忘れられた顧客」を呼び戻すタイミング設計

CRM用語集

リマインダー施策とは、顧客が「買う」「使う」「続ける」ことを忘れかけたタイミングで、購買や行動へと促すコミュニケーションのこと。企業には「眠った顧客資産の再活性化」を、顧客には「本当は欲しかったのに忘れていた」という課題解決をもたらす。

バーのカウンター

金曜夜、サプリメントECを運営するれいが、カウンターに肘をついた。

「マスター、ちょっと相談があるんですよ。うちのサプリ、初回の購買率は悪くないんだけど、2回目がガタ落ちなんです。飲み始めて何か忘れちゃうんですかね……」

マスターはグラスを磨きながら、

「いや、忘れるんだよ。3日続かないんじゃなくて、3週間続いて『あ、そういえば飲んでないや』ってなる。サプリって体感がすぐじゃないじゃないか」

「そうなんです。習慣化に21日必要だって言いますし、効果実感には3ヶ月くらい……」

「じゃあ、その間、何もしないの?」

れいが首を傾げた。

マスターは身を乗り出す。

顧客は『飲むべき理由』は買ったときに知ってる。でも、その『理由』を忘れるんだ。毎日の忙しさの中で。だからお前が、『あ、そういえば最近どう?』ってタイミングよく思い出させてやる。それがリマインダー施策

「え、でも頻繁に連絡すると嫌われませんか?」

「タイミングだよ。飲み始めて1週間目、最初の習慣化の崖を越えるとき。10日目、『あ、飲むの面倒だな』って思い始めるとき。3週目、『あれ、効いてるのか?』って疑問が出てくるとき。そういった『顧客の心が揺らぐ瞬間』に、ちょうどいい一言を送る。それが嫌がられずに続く秘訣だ」

れいはスマホを取り出した。

「今はLINEで配信してるんですけど……」

「いい媒体だ。でも問題は『何を、いつ、どの流れで』送るかだ。例えば、購入から7日後に『体の変化に気づきませんか?』って聞く。10日後に『飲み忘れをカバーする方法』を教える。21日後に『このタイミングで実感する人が多い』って安心感を与える。そして3ヶ月後にレビューをお願いする」

マスターがカウンターに手書きのメモを書く。

リマインダー施策は『再購買』を狙うんじゃない。『継続』を支援するんだ。最初の1本を飲み切るまで、顧客の心が折れないように支えてやる。そしたら2本目は自動的に買うようになる」

れいが頷く。

「そうすると、最初の3ヶ月が勝負ってことですね」

「そう。そこを乗り越えた顧客はね、忘れられたリピーターじゃなくて、習慣化した顧客になる。定期購買に移行できる。リマインダー施策の本当の役割は、その『習慣化までの橋渡し』なんだ」

ありがちな失敗

多くの企業がやりがちなのは、「2回目購買を促す」という商売的な理由だけでリマインダーを送ることだ。

化粧品ECのあやが経験した話だが、彼女の前職では、使い始めて2週間で「まだ使い切ってない顧客」にいきなり2本目のセール案内を送っていたという。結果、『まだ1本目も終わってないのに、なぜ勧めてくるんだ』という反感を買い、クレームが増えた。

マスターに相談したあやに、マスターは「お客さんの『使用進捗』と『心の状態』を見てない。商売の都合で送ってるから、ウザいコミュニケーションになる」とバッサリ。

リマインダーは「再購買促進」ではなく、「継続支援」の仕組みだと心得ることが大事だ。

【リマインダー施策のタイミング設計例】

サプリメント(体感期間3ヶ月)の場合
Day 7:「飲み始めてから1週間。習慣化のコツ」
Day 14:「飲み忘れ防止アプリのご紹介」
Day 21:「3週目で実感する変化」
Day 30:「1ヶ月目のレビュー&成功者の声」
Day 45:「あと45日で効果が出やすい時期」
Day 90:「3ヶ月経過。レビュー投稿で特典ゲット」

再購買までのLTV改善
何もしない場合:2回目購買率 25%
リマインダー施策実施:2回目購買率 62%
→ 定期購買への移行率が 3.5倍に向上

📋 本日の処方箋

  1. 【なぜやるか】顧客の「買った理由」は時間とともに薄れるから / 【どうやるか】購買直後から3ヶ月の間に、顧客の心が揺らぐタイミングを7~10個設定し、ステップメールやLINE配信で心理状態に合わせたメッセージを送る
  2. 【なぜやるか】2回目購買を促すだけでは短期的な売上になるから / 【どうやるか】再購買より「継続」を優先。『本当に効いてるのか』『続けるコツ』『他の人の成功事例』といった『使い切る』ための情報を先に提供する
  3. 【なぜやるか】一律のリマインダーはノイズになるから / 【どうやるか】購買日や使用進捗、顧客の行動ログに基づいて、パーソナライズされたタイミングでメッセージを送り分ける。SaaS型の場合はログイン頻度、MAツール系なら配信回数など、「顧客の本当の現在地」で判断する
  4. 【なぜやるか】送るだけでは効果が出ないから / 【どうやるか】リマインダー配信から3日以内の「反応」(クリック・開封・返信)を計測して、その反応に基づいてフォローアップを変える。返信がない顧客には別のチャネルで再度リーチ
  5. 【なぜやるか】施策の成功判定を間違えると、施策の精度が上がらないから / 【どうやるか】「開封率」ではなく「2回目購買率」「定期購買移行率」「チャーン率低下」という「行動の変化」でリマインダーの効果を評価する。細かな改善を3ヶ月単位で繰り返す

業種を超えた応用例

これはサプリだけの話じゃない。ペットフード販売のつよしなら、フード切り替え期間(7~10日)に「消化の様子は?」と確認し、新フードへの定着を支援する。アウトドア用品のりつなら、シーズン開始前に「ギアの手入れ方法」を送り、購買後のガイダンスを充実させる。ファッションECのめぐみなら、シーズン切り替わり時期に「今の季節に合わせたコーディネート提案」をリマインダーとして送れば、衣替え時期の追加購買へと導ける。

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