ブロック率とは|顧客が受け取り拒否した時点で、施策はすでに失敗している

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ブロック率とは

ブロック率とは、送信したメッセージやメールに対して、顧客が「ブロック」「迷惑報告」「配信停止」といった受け取り拒否アクションを取った割合のこと。企業には顧客の本音—自分たちの発信は「要らない」と判断された事実をもたらし、顧客にはこれ以上の不要な接触から身を守る権利をもたらす。

バーカウンター、マスターと顧客の対話

金曜夜のバー。化粧品ECを運営するあやが、カウンターにうつむいている。

あや:「マスター、最近LINEのブロック率が2.5%くらいになっちゃって。何が悪いんですかね」

マスター:「2.5%か。毎月何人送ってる?」

あや:「今月は13万人くらいですね。だから3,250人がブロックしたってことですね」

マスター:「毎月3,250人が『君たちの話は要らない』と明確な意思表示をしてるわけ。これは本来、データとして最も重い声だ

あや:「…確かに。開かない人もいっぱいいますけど、ブロックされる方が悪い感じしますね」

マスター:「そう。開かない人は『今は見てない』かもしれないが、ブロックする人は『もう見たくない』と宣告してる。開封率や配信停止率よりもブロック率が高い場合は、顧客に刺さっていない発信内容か、発信頻度か、タイミングか、何かが大きく外れている信号だ

あや:「でも、フェイシャルの新商品の話題とか、ビューティーのコラムとか、悪い内容ではないと思うんですけど」

マスター:「企業目線で『いい内容』と、顧客目線で『必要な情報』は別もの。化粧品のターンオーバーって28日周期だよね?」

あや:「そうですね。だから3週間くらいで同じ商品を使い切って、リピート判断するし」

マスター:「じゃあ毎日LINE来てたら、1回の購買ライフサイクルで28回も接触されてることになる。ちょうど肌が一巡する期間に、企業都合で何十回も話しかけてれば、その人は『うるさい』と感じて当然だ

あや:「あ…毎日朝と晩に配信してました」

マスター:「ブロック率が上がるのは当然。それに、あやの顧客層って20代女性が多いんだっけ?」

あや:「はい、20〜30代がメインです」

マスター:「その年代はどこでコスメ情報探す?」

あや:「インスタやTikTokですね。あとは口コミサイト」

マスター:「そうだろ。その人たちにLINEで毎日『新着商品です』『レビュー動画です』『割引キャンペーンです』って送ってたら、LINEはあくまで『親友と連絡取る場所』という認識が強い層には、企業のセールストークは邪魔でしかない。ブロックされるべくしてブロックされてる」

あや:「…では、頻度を落としたらいいんですか?」

マスター:「頻度だけじゃ足りない。ブロック率が上がってる背景を読む必要がある。たとえば3ヶ月前のブロック率が0.8%だったとして、今2.5%になったなら、いつ何が変わった? その時期に何を始めた?」

あや:「あ、4月からリッチメニューに『毎日コラム』を追加して、そっちへのプッシュを増やしたんです」

マスター:「そこだな。頻度が上がったから、ブロック率も連動して上がった。ブロック率は『その施策が有害か有益か』を語る最後の一票だ。数字が嘘をつかない」

横から、SaaS企業のカスタマーサクセス担当・ゆうきが口を挟む。

ゆうき:「マスター、それ実感します。SaaS企業でも、メール配信を増やし始めたらブロック率と配信停止が一気に上がった時期があった」

マスター:「ゆうきはどう対応した?」

ゆうき:「顧客セグメントごとに配信パターンを分けました。ハイアクティブユーザーには週2回、初期段階のユーザーには月1回のチュートリアル、チャーンリスク層には復帰キャンペーンだけ」

マスター:「そうだ。ブロック率が教えてくれたのは『一律配信は顧客の多様性を無視してる』ということ。ゆうきはそれを聞き入れた」

あや:「では、リッチメニューのコラムは消した方がいいですか?」

マスター:「コラム自体は悪くない。だが、『毎日見せる』が間違ってる。化粧品は購買から使用完了まで28日。その間は商品の効果を感じてもらう段階。この期間に『コラムはどうですか』なんて、焦点外れてる。むしろ『今日で4日目。そろそろ肌の変化が出始める頃。継続が大事』みたいに、購買日から経過日数をトリガーにして、タイミングに合わせた1通のメッセージの方が刺さる」

あや:「あ、それはマイクロモーメントみたいな?」

マスター:「そう。顧客が『今このタイミングで必要か』を軸にメッセージを設計し直す。そうすると、ブロック率は自動的に落ちる」

ありがちな失敗

多くの企業がやりがちなのは、ブロック率を『そういうもの』と諦めることだ。「SNS時代は顧客がナーバスだから、2%程度のブロック率は許容範囲」と言う担当者がいるが、これは大きな誤りだ。実際には、コンビニのクーポン配信では0.3〜0.5%、銀行の重要通知では0.1%以下というデータもある。その差は、顧客にとって『本当に必要な情報か、迷惑なセールストークか』という違いを示している。ブロック率が1%を超えたら、「うちはこんなもん」ではなく、配信内容・頻度・セグメント・タイミングのいずれかを根本から見直すシグナルだ。

マスターがカウンターに書いたイメージ

【ブロック率が示す実態】

毎月100万人配信、ブロック率2% = 毎月2万人が「要らない」と宣告
毎月100万人配信、ブロック率0.5% = 毎月5,000人が「要らない」と宣告

2%と0.5%の差 = 毎月15,000人分の顧客ロイヤリティの喪失
年間 = 180,000人分のチャーンリスク増加

【業界別参考値】
金融機関(重要通知):0.1~0.3%
小売EC(セール通知):0.8~1.5%
SaaS(プロダクト更新):0.3~0.8%
化粧品EC(頻繁な配信):1.5~3.0%(改善前)

📋 本日の処方箋

  1. 【なぜやるか】ブロック率が1%を超えたら、それは『顧客が拒否権を行使し始めた警告信号』だから / 【どうやるか】過去3ヶ月のブロック率推移を追い、上昇のきっかけになった施策変更(配信頻度・内容・時間帯)を特定し、まずそれを停止する
  2. 【なぜやるか】『企業にとって価値ある情報』と『顧客が今必要な情報』は別物だから / 【どうやるか】購買後の日数、顧客ステージ、行動データをトリガーにした「タイミング依存型」の配信設計に切り替え、一律配信をやめる
  3. 【なぜやるか】LINEなど親密系チャネルではセールストークが特に嫌われるから / 【どうやるか】LINEは「有用なヒント・コミュニティ感・限定感」の発信に寄せ、直接的な商品推奨・割引告知はメールか広告に分ける
  4. 【なぜやるか】配信停止とは違い、ブロックは顧客が『二度と見たくない』という最終意思表示だから / 【どうやるか】ブロック数の絶対値と率を毎週チェックし、前週比で上がってたら即その原因を仮説立てして改善する
  5. 【なぜやるか】セグメントごとに顧客の情報ニーズは異なるから / 【どうやるか】新規顧客・リピーター・休止顧客など最低3段階のセグメントを作り、配信頻度と内容を分ける。初期段階の顧客にはコラムより「使い方ガイド」が刺さる

業種を超えた応用例

これはメール・LINEだけの話ではない。サプリメントなら、習慣化の重要な21日間に毎日プッシュ通知を送れば、ブロック率が跳ね上がるだろう。アウトドア用品なら、シーズンオフにギア情報を毎週送れば、春秋のピークシーズンだけ関心層は「また来た」と感じてブロックする。食品ECでも「毎週のまとめ買い推奨メール」は消費サイクルを無視した押し売り。ブロック率の本質は『タイミングと頻度』であり、これはあらゆる業種の顧客接触戦略に共通する問題だ。顧客が「要る」と思う瞬間を読み違えれば、どの業種でもブロックされる。

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