GA4とは
GA4(Google Analytics 4)とは、Googleが2020年に発表した次世代アナリティクスプラットフォーム。従来のUniversal Analytics(UA)と異なり、ユーザー単位での行動を縦糸で追い、複数デバイス・チャネルをまたいだカスタマージャーニー全体を可視化するツール。顧客には「自分のニーズに応じた提案」を、企業には「全チャネル統合での顧客行動インサイト」をもたらす。
バーの一杯から始まる話
金曜夜、いつもの常連・ゆうき(SaaS企業 カスタマーサクセス担当)がカウンターに肘をついていた。
ゆうき:「マスター、困ったんです。うちのプロダクト、ウェブとモバイルアプリ両方で提供してるんですけど、UAがサポート終了だって知ってGA4に移行したんですよ。でも…データがぐちゃぐちゃで。」
マスター:「UAでは何が見えてた?」
ゆうき:「セッション数とか、ページビュー数とか。要は、『今月は10万アクセス来た』みたいな。月ごと、デバイス別に。」
マスター:「で、GA4に移ったら?」
ゆうき:「あ、同じ指標がない。『イベント』とか『ユーザー』とか、見方が全然違うんです。UAでは『セッション単位』だったのに、GA4では『ユーザー単位』。混乱してます。」
マスター:「それこそが、GA4の本質だ。」
マスターはグラスを磨きながら続けた。
マスター:「UAの時代は、『訪問』を数えてた。同じ人が朝にウェブで見て、昼にアプリで見たら、『セッション』は2つ。別の訪問ってことになっちゃう。でも君たちのビジネスからしたら、同じ顧客が朝と昼に接触しただけだ。GA4は『その人』を追うんだ。」
ゆうき:「あ…確かに。うちも、アプリの利用状況とウェブの閲覧を合わせて、『この顧客、実は毎日触ってるな』みたいなことが知りたいんですよ。」
マスター:「だから、GA4は『イベント』ベースで全部記録する。ボタンクリック、スクロール、動画再生、購入…全部が『イベント』。そしてそのイベントを、同じユーザーIDで繋ぐ。デバイスが変わろうが、3ヶ月空こうが、『同じ人の足跡』として見える。」
ゆうき:「なるほど。それで…チャーン予防に使えるってわけですね。」
マスター:「その通り。UAなら『ウェブアクセス』と『アプリ起動』を別々に見てた。両方減ったら初めて『あ、危ない』って気づく。でもGA4なら、ユーザー単位で『過去3ヶ月の行動パターン』が見える。いつもの人が来てない、イベント数が減ってる…そういう兆候を早くキャッチできる。」
ゆうき:「ふむふむ。あと、マーケティングの施策も見えやすくなるんですか?」
マスター:「そこだ。GA4は『ユーザーライフサイクル』っていう概念を持ってる。獲得から、成長、維持、復帰…その全段階で『どのイベントが起きたか』を追える。つまり、君が『このユーザーは今、成長段階にいるな』とか『維持段階だから、チャーン防止施策を打つか』みたいな判断ができる。UAじゃ見えなかった。」
ゆうき:「つまり、GA4は『顧客1人ひとりの通信簿』みたいなもの?」
マスター:「いい表現だ。正確には『通信簿と、その背景にある行動データの全記録』だ。」
多くの会社がやりがちな間違い
マスターは思い出したかのように、奥のポスターを指差した。
「UA時代の教科書のまま使おうとする会社、多いんだよ。『セッション数を見れば…』『バウンスレートを…』と、UAの指標で追い続ける。そりゃ、数字が合わなくなる。GA4は土台が違う。『セッション』という概念さえ、UAと異なる。新しい指標系で思考を作り直さないと、データの読み間違いが起きる。」
「特に、EC企業がやりやすい間違いは『eコマース関連イベント』の設定をしないこと。『購入した』という行動も、GA4では自動で拾わない。自分たちのビジネスに合わせて、『何が重要なイベントか』を定義して、タグを埋める必要がある。その手間を惜しむと、GA4導入しても宝の持ち腐れだ。」
【UA(Universal Analytics)】
・基本単位:セッション(訪問)
・計測範囲:各デバイス・チャネルが独立
・機械学習:限定的
・主な指標:ページビュー、セッション数、バウンスレート
【GA4(Google Analytics 4)】
・基本単位:ユーザー(個人) ← 全体を貫く縦糸
・計測範囲:Web + App + オフラインを統合
・機械学習:Google AI 活用(自動インサイト、予測メトリクス)
・主な指標:イベント、ユーザーライフサイクル、コンバージョン経路
📋 本日の処方箋
1. 【なぜやるか】UAから乗り換えただけでは、チャーン防止や顧客のステージ判定ができない。【どうやるか】GA4の『イベント設計』を自社ビジネスに合わせて定義し直す。カスタマージャーニーの各段階で『何をイベント化するか』を整理する。
2. 【なぜやるか】ユーザーIDを正しく設定しないと、同じ人の複数デバイスでの行動が追えない。【どうやるか】ログイン機能やCRM連携を通じてUser-ID を埋め込み、「朝のウェブ訪問」と「夜のアプリ利用」を同一人物として繋ぐ。
3. 【なぜやるか】GA4の『ユーザーライフサイクルレポート』を見ると、各段階の顧客数と行動が一目瞭然になる。【どうやるか】毎週「獲得」「成長」「維持」「休止」「復帰」の5段階で顧客を分類し、段階ごとのメール・LINE施策を設計する。
4. 【なぜやるか】GA4の『予測メトリクス』機能は、AI が自動で「この顧客は30日以内にチャーンする確率」を算出する。【どうやるか】予測スコアが高い顧客リストを自動で作り、リテンション施策の対象に設定する。
5. 【なぜやるか】GA4とCRM(または顧客DB)を連携させると、『Web行動』と『購買履歴』が同じプラットフォームで見える。【どうやるか】BigQuery(GA4との標準連携)に データを出力し、カスタマーマスターデータと結合。一元化された顧客インサイト基盤を作る。
業種を超えた応用例
これはSaaSだけの話じゃない。化粧品ECなら「ウェブでの情報閲覧」と「アプリでの購入」、さらに「SNS(Instagram)での製品タグクリック」が同じユーザー単位で繋がる。サプリメントなら「ランディングページ訪問」から「購入」「2回目購入」まで、個々の顧客の習慣化パターンが見える。GA4なら、ウェブとアプリの垣根なく、顧客の真の行動フローが浮かび上がる。

